川越銘木センター

●銘木辞典

銘木に関する概括(がいかつ)的な辞典を更新していきます

銘木と密接な関係にある和風建築に関する用語も納めていきます

現在編集中です。ご意見収集の為に仮公開しつつ編集していきます。

最終編集日2017.12.06

※ドラフト原稿

※わ行より開始。以降あいうえお順で進行

わ行

[わ]

●和風建築(わふうけんちく)
 日本人は古来より作ったものに精神性を籠(こ)めてきており、建築物にも精神性を籠めて作ってきた。その精神性の根底には日本神道の八百万神(やおよろずのかみ)の思想があると思われる。ゆえ日本に息づく精神性を踏まえて建てたものが和風建築と言えるのではなかろうか。なお和風建築の精神性の中心となるのが床の間となる。その建物の精神の在り処とも言える。ゆえ床の間がある家は精神性をもった家であると言える。⇒床の間の項目もどうぞ ⇒日本人の建築物(建造物)と精神性の項目もどうぞ ⇒八百万の神(やおよろずのかみ)の項目もどうぞ

●和の美の神髄となる概念(わのびのしんずいとなるがいねん)
 和の美の世界────書道、和裁、生け花、茶の湯、そして和風建築などには、和の美の神髄となる概念が存在する。それは美術館で解説されていたり、各界の師匠が言葉として敢えて教えてくれるものではないが・・・『真行草・しんぎょうそう』という和の美の神髄となる概念が存在する。和の美の世界の神髄を知る事とは真行草を知る事であり、真行草を知る事は和の美の世界の神髄を知る事である。もしもお若いアクセス者さんがこの言葉を今ここで知ったのであれば、今、この瞬間に和の美の入り口に正式に立った日となるのではなかろうか。この銘木辞典では和の美の世界にも踏み込むゆえ是非記憶に留めておいて頂きたく。⇒真行草の項目もどうぞ

 

※以降 あいうえお順で進行

あ行

[あ]

上がり框(あがりかまち)画像準備中
 玄関から建物内に上がる所に据えてあるのが上がり框。近年では集成材の框(画像参照)を据えられる事が99%である。見た目が無垢に見える集成材の框と無垢材の框では、踏んだ時の感覚やその家全体の雰囲気にまで影響を及ぼすので、総無垢材の家を建てる事が叶わなくとも上がり框だけは無垢材を用いたいところ。様々な材種や杢目(もくめ)から選ぶことが出来きる。

[い]

○一位(いちい)

[お]

●落とし掛け(おとしがけ)
⇒「床の間の落とし掛け」をどうぞ

 

か行

[か]

●カウンター

○唐松(からまつ)

●含水率(がんすいりつ)
物質に含まれた水分の割合を示す言葉。樹は伐採間もない頃は100%を超す事もある。材としての数値は一般的に15%から20%の間にまで乾燥していれば良い。ただしその数値により永い時間を掛けて自然に乾燥させるのが良い。急激な乾燥は反りや割れを招く。⇒自然乾燥の項目もどうぞ

 

[き]

●木組み工法

●木彫り
無垢の材から刻み出す芸術。緻密に刻みだす作家になると数千回以上も刃物を入れる。近年その価値を理解する方が回復し始めている印象を受ける。全国各地に名品がある。

弊社の倉庫の材から彫り出した
お地蔵様
ハンドメイド作品販売サイトで
人気の鶏口舎(けいこうしゃ)さんの作品

 

●木の玩具(おもちゃ)
木の玩具はプラ樹脂の玩具とは異なり金型で量産できない為に大変手間が掛かるがその見返りに温かみのあるものとなる。角を丁寧に丸く磨いてあるものは安全であるが角が尖っているものは買い与える際に注意が必要である。

弊社で自然乾燥させたケヤキ材
から挽いた柾目を利用した玩具

 

[く]

○黒柿(くろがき)

[け]

●KD材(けーでぃーざい)
 無垢の木材を自然に乾燥させるのではなく人工乾燥施設において人工乾燥させたものをKD材と呼ぶ。人工乾燥のメリットは短時間で含水率(がんすいりつ)をコントロール出来る点と、施工後に割れが起こり辛くなる事。デメリットは木材からその材種特有の脂分などの成分がほとんど漏出してしまう事。木材の耐水性や耐久性はその材種特有の脂分などの成分により持ち堪える訳であるから著しく朽ち易くなってしまう。無垢材の機能の長所を廃してしまう問題がある。鉋(かんな)を掛け辛くなるという問題もあり無垢材を使う大工さんに敬遠されてしまう。なおKDとはKiln Dryの頭文字より。Kilnとは窯(かま)という意味。 ⇒自然乾燥の項目もどうぞ ⇒性(しょう)の項目もどうぞ ⇒含水率の項目もどうぞ

○けやき(欅)
 樹として:広葉樹。生命力旺盛で姿よく葉の形も美しい。盆栽としても愛されている。日本のケヤキは1種。◆材として:我が国を代表する良材。利用の歴史は古い。耐水性強し。乾燥を怠ると施工後に反る等トラブルに。乾燥に時間が掛かるがそれに勝る魅力がある材。◆利用法:テーブル、カウンター、上がりカマチ、梁、柱、床柱、床柱、地板、床板など。◆銘木としてのケヤキ:やはり玉杢と呼ばれる特殊な木目が現れているケヤキ材は銘木界の王道。玉杢と言っても玉の数や大きさで雰囲気が大きく変わる。

山神宮の大ケヤキさま
その昔天狗様が住んでいたとの伝承あり
撮影地:秩父市


[こ]

●ご縁(ごえん)
 弊社の古い在庫は40年以上を一緒に過ごしている事になる。そのような材がある日突然お越しになったお客様がお買い上げ下さる事がある。そのような時に常々思う事は、樹(材)とお客様はご縁で結ばれているのではないか。樹(材)を仕入れたその40年前からそのお客様と赤い糸で結ばれており、静かにその日を待ち倉庫に迎えに来る日を待っていたのではないかと思うものである。それが樹齢数百年の材ともなればそれはお客様が生まれる前に遡る事になる。長く一緒に過ごしてきた材がお客様のところへ嫁に行く事は大変喜ばしい事であるが、少しさみしい気持ちにもなるものである。


さ行

[し]

●敷居

●式台

●地板(じいた)
⇒「床の間の地板」をどうぞ

●自然乾燥

●シルベスター・S・モース
 大森貝塚を発掘した事などで有名。床の間を和風建築の精神性の中心と表現。外国人ならではの客観的視点であり素晴らしい洞察力。動物学者。

●真行草(しん ぎょう そう)
 和の美の世界の神髄と言える概念。真行草。もっとも手短に伝えるとすれば、真とは正統派。草とは遊び心などを踏まえ真をくずしたもの。そして行とは真と草の中間にあるもので、その境目は曖昧である。なお、そもそもは書道の楷書(真)、行書、草書の筆法を表す言葉だったが、真行草という概念に発展し、和裁、生け花、茶の湯、そして和風建築など日本の美の世界に多大な影響を与えている。周囲をよく観察すれば、特に説明がなされていなくとも、この真行草の概念が溢れているものである。なお、重ね重ねになるが、和風建築の床の間には真の床の間、行の床の間、草の床の間の三種の流儀に大別できる。なお、この真行草は仏教の一派である禅宗から生まれたものである。仏教から生まれたともいえる事になるが若いアクセス者さんに対して念のために日本仏教についての項目も残しておく。 ⇒日本の仏教。和の美の世界の項目もどうぞ

●性(しょう)
銘木や木材の世界での性(しょう)とは、材の中に蓄積された脂分などの物質の事を指す。例えばそれを人工乾燥(⇒人工乾燥の項目もどうぞ)してしまうと材の中の成分がほぼ漏出してしまう事になる。そのような際に性が抜けてしまうと用いたりする。ちなみに盆栽での性とは枝の生え方や葉の大きさなど生まれ持ったDNAによる個体差の事を性が良いなどと用いる。

[す]

●杉材の心材(または杉の赤身とも)
 杉材の心材(赤い色の部分)は耐水性が大変強く条件次第では100年以上の耐久性がある。川越市の観光名所である時の鐘にも利用されている。また弊社の道路沿いの看板は杉材の心材でありメンテナンス無しで40年を越えている。

●数寄屋建築(すきやけんちく)

[せ]

 

[そ]

●総無垢材の家(そうむくざいのいえ)
 建物の全ての箇所に突板(つきいた)や集成材(しゅうせいざい)を用いていない家の事。2017年現在の常識的な考え方で計算すると、坪単価80万円以上あれば、贅沢なシステムキッチンなどを選択はできないが総無垢材の家を建てる事が出来る。総無垢材の家を建てる最初の一歩目は、総無垢材の家を建てる知識、技術をお持ちの工務店を見つける事から。

 

た行

[た]

●建具

[ち]

●茶室(ちゃしつ)

[て]

●テーブル

●天然檜(てんねんひのき)

●天然杉(てんねんすぎ)

[と]

●遠山邸(とおやまてい)
 埼玉県川島町に建つ究極の和風建築。美術館遠山記念館の敷地内にある旧邸宅。訪れた人にそれぞれの見所や思いがあろう事なので詳細は割愛する。入館料(一般)500円。弊社からクルマで20分ほど。和風建築を建てたい、学びたいという施主さんは是非観覧を。※リンク設定

西棟、中棟、東棟に繋がる渡り廊下の総延長は約百メートル
この大きさでありながら隙が無い
国の登録文化財(2000年)
1936年竣工

※遠山記念館様に画像使用許諾確認済み。より画像充実の為調整中。



●床框(とこがまち)
⇒床の間の床框の項目をどうぞ

●床の間(とこのま) 画像準備中
 正式には「床・とこ」。床の間は俗称。和風建築の精神性の中心となる重要箇所。近年では建売住宅などで納められている事は珍しいが、和の美や精神性を大切にする施主さんは必ず施工するものである。床の間の様式や細かな各部の解説は他の項目にて。床の間のさらに中心となる床柱はその家の最重要箇所であり精神の在り処と言える。床の間には施主様の志向により三種の流儀の中から材を選ぶこととなる(⇒床の間施工のヒント。真行草の項目をどうぞ)。なお、床の間を全て無垢材で作るには銘木などの材料費が20万円より、大工さんの手間賃は10万円より。手間を掛けようとすれば切りがないほど。床の間は日本人にとっても大切なもの。熟考して施工すべし。⇒床柱の項目もどうぞ ⇒その他床の間関連の項目もどうぞ

●床柱(とこばしら)
 床の間のさらに中心的な箇所となるのが床柱。床の間が和風建築の精神性の中心であり、さらにその床の間の中心部分に設置されるのが床柱である。ゆえその建物の最重要部位と言える。見せ場でもある。施主さんや大工さんによっては床柱をご神木、御柱と表現する方も。国産材、外国産材、杢目など種々相の床柱がある。全体のバランスを大切に。ただしちょっと良い床柱を設置すると家全体の格が上がる。弊社は200本以上の床柱(皮付丸太含む)を常に在庫。価格の目安は国産床柱3000mm:10万円より

●床の間の基本。各部名称

●床の間の基本。寸法に関する事
 床の間には大きくは3種類の寸法のものがある。基本サイズは幅が約3.6メートル(いわゆる2間・12尺)。6畳間の長い方の間が約3.6メートルである。そのサイズを半分にした幅約1.8メートルの床の間もある(いわゆる1間・6尺)。基本サイズを四分の一にした幅0.9メートルコンパクトな床の間もある(半間・3尺)。

●床の間の床框(とこがまち)

●床の間施工のヒント。真行草とは具体的に

●床の間の地板(じいた)

●床の間の落とし掛け(おとしがけ)

メモ※床の間関連は「床の間の○○」と統一。

 

な行

[に]

●日本人の建築物(建造物)と精神性
 さいたま市の武蔵一宮神社は、旧日本海軍の戦艦武蔵の艦橋に分祀し武蔵神社(艦内神社)と命名された。すなわち戦艦武蔵の精神性の中心は艦橋である。他には伊勢神宮には木曽檜(きそひのき)で作る御樋代木(みひしろぎ・ご神体を納める)があり、伊勢神宮の精神性の中心と言える。そのように日本人は大切な建築物や建造物に精神性の中心となる、精神の在り処を据えてきた。そして和風建築の精神性の中心となるのが床の間である。それゆえ施主さんによっては床の間の無い家には住めないとまで言わしめる理由がある。なお床の間のさらに中心となるのが床柱である。

●日本の仏教と和の美の世界
 和の美の神髄となる概念真行草の発端は禅宗(仏教の一派)にあるが、注意が必要である。そもそも仏教はインドから始まりやがて中国に辿りついたが元祖であるインド仏教と少々異なる中国仏教といえるものとなった。そして中国仏教が日本に伝来した(いわゆる北伝ルート・北伝仏教)。さらに中国仏教は日本で独自に発展されたが、中国仏教伝来以前に日本には縄文時代に起点がある神道の考え方が根付いており、日本仏教は神道の国の文化を基に中国仏教が融合したものと言われている。ゆえ、和の美の基本概念といえる真行草は仏教の一派である禅宗から生まれたものであるが、さらにその神髄には神道の考え方、特に八百万の神(やおよろずのかみ)の考え方がある事を忘れてはならないだろう(無意識的であるがとても大きな影響を与えている)。和の美や和風建築について思い致す時にこの辺りの区別をしたうえで臨む事が国際社会において必須の事ではなかろうか。

[ね]

●年輪(ねんりん)

は行

[は]

●幅(はば)
 樹の成長において上方向への伸長はぐんぐんと伸びていくものだが、径が太く膨張するのは大変時間が掛かるもの。成長が遅い樹では直径30センチに至るのに100年以上を要する樹もある。それゆえ銘木(無垢材)の世界では幅の寸法が増えるほど高価になる。また建材としての利用が主なることから1尺(約30センチ)、2尺、3尺と、尺単位で価格が倍増以上するものである。ちなみに樹齢三千年近い屋久杉の年輪の最も外側では1センチの成長に40年以上掛かっていることがある。そのクラスになると10センチの成長に400年を要する事となる。そのように老木になるほど成長が遅れるので、最初の100年と比較し樹齢数百年を越えてからの100年では径の膨張の速度が明かに遅くなる。さらにはイチイ(一位)のような成長が遅い樹で幅3尺(90センチ)以上の材を採るとなると途方もない樹齢が必要となる。そんな事情を知り始めると銘木への興味が加速し始めるではなかろうか。

 

[ひ]

○ひのき(檜・桧)
 樹として:針葉樹。日本固有の樹。近縁種は海外にも。盆栽としては園芸種を用いる事が多い。神社などの神木として大切にされている。◆材として:我が国の木造文化に大きな影響を与えてきた素晴らしい材。耐水性に優れる。正しい利用をすれば数百年以上耐える。日本の各地により材の色味や堅さ脂分などが異なる。天然ひのき材とは実生で育ったもの。植林物とは別物として扱われている。◆利用法:梁、柱などの構造体に。カウンターテーブルなど何にでも。

[ふ]

[へ]

[ほ]

ま行

[ま]

●間(ま)

●窓枠

●柾目(まさめ)

●まねぎ

[み]

●実生(みしょう)
銘木の世界において実生とは自然界において発芽し育ってきた樹の事を指す。植林したものは実生とは呼ばない。⇒植林の項目をどうぞ ⇒天然スギの項目もどうぞ ⇒天然ヒノキの項目もどうぞ

ヒノキのタネ。3ミリ程度
このタネがいつか大木となる
瓶の中にあるのがタネ。
枝についているのはいわゆる松ぼっくり

●みのこ

[む]

●無垢材(むくざい)
 樹を伐採し、製材しただけの材を無垢材と呼ぶ。近年では突板(つきいた・表面に薄くスライスした木材を貼る)を無垢材と呼んだり、集成材(しゅうせいざい・無垢材の木端を接着剤で集成)を無垢材と呼ぶ事があるがそれは誤り。

[め]

●銘木(めいぼく)
 人の心を打ち、感銘や美しさを覚え心を動かされるような木材を銘木と呼ぶ。心を動かされ感動的なさまを英語ではエモーショナルと表現するが、まさにエモーショナルな木材が銘木である。

や行

[や]

●八百万の神(やおよろずのかみ)
 周囲のものの多くに神様が宿っているという日本文化の基幹(きかん:ものごとの中心となる基のこと)となる思想。日本人は言葉にしないまでも常に無意識的にこの思想を大切にしていると考えられる。縄文時代に起点があると考えられている。日本人が樹や無垢材を大切にする心情もこの八百万の神の思想から生まれていると考えられる。なお和風建築の床の間は日本仏教の禅宗から育まれたものであるが、日本仏教は無意識的にでも日本神道と密接な関係にある事を押えておく必要がある。

 

[ゆ]

●床板(ゆかいた)
 いわゆるフローリング。ぜひ無垢材のフローリングを使いたい。既製品の無垢フローリングを利用すると便利であるが既製品は価格的な理由から幅が狭くなりがちである。こだわりを持つ施主さんは大きな無垢の盤を購入し特注で45センチ幅(もしくはそれ以上)のフローリングを施工する事がある。なおそのような施主さんは「既製品の無垢フローリングはコストパフォーマンスに優れるが、似たような風景になりがち。それは避けたい。銘木から挽いて特注フローリングにすると空間が変わる」と仰るもの。特注であれば材や色味をある程度選べるのでより理想の空間を実現できる事であろう。現在はナラを始め様々な材種のフローリングを楽しんでいるが、和風建築ではケヤキ、数寄屋建築ではマツの人気が高い。原点回帰するのであればそれも良し。施主さんが無垢材の多くを知ると床材はケヤキやマツに辿りつくものである。マツが経年変化により飴色に焼けてくる様は詫び寂びの“寂び”の世界の美しさである。 ⇒詫び寂びの項目もどうぞ

 

わ行

●詫び寂び(わびさび)
 わびさび。韻を踏んだ発音のリズム感が良くついつい多用される言葉であるが、詫びと寂びでは別次元の意味の言葉を並べている。この言葉を簡潔に伝える事は難しいものであるが、現代においては詫びの本質は質素で控えめなこと。寂びの本質は経年劣化していく様子や経たものの美。と言えるのではなかろうか。大変深い言葉であるがこの項目では簡潔なものとなり大変恐縮である。

 

監修:竹田峰雄・竹田浩基 (川越銘木センター)

ライティング:にらさわ、やすおみ(某自動車メーカー公式サイト企画、監修の経験。東証一部上場企業のマーケティング企画経験。現在他作家業)